フランスのLariboisière病院でClinical Fellowとして頭蓋底外科手術を学ぶ(脳神経外科 亦野文宏先生)

留学報告 

2019年9月からFrance, ParisのLariboisière病院に留学をさせて頂いております。

Lariboisière病院は頭蓋底外科で高名なSébastien Froelich教授の元、年間1500例程の手術があり、所謂頭蓋底外科手術は年間180件というhigh volume centerです。petroclival menigiomaに対するcombined petrosal approach、cranial cervical portionのchordomaに対するanterior lateral approachが特に多い印象ですが、内視鏡手術を含めありとあらゆる手術が経験できる環境です。脳神経外科医は20人ほど在籍しておりますが、半分以上はフランス外からのヨーロッパ、アフリカ、南米などからの医師です。

1年目はResearch Fellowとして手術見学、cadaver 研究室でのpractice及び新しい頭蓋底手術アプローチの研究を行いました。2020年11月からビザを切り替え、Clinical Fellowとして仕事を開始しています。

Clinical Fellowになる為にはStagiaire Associéというビザ取得が必要で、一番苦労したのはやはりフランス語の試験でした。DELF(フランス国民教育省認定フランス語資格試験)というフランス語の試験でB2レベル(日本の英検、仏検準一級相当)をパスしなければならず、かなり苦労しました。コロナパンデミックも重なり試験そのものが3-6月まで受けられず、一時期は少し諦めてかけていましたが何とか滑り込みで6月末に試験を受ける事が出来、無事Clinical Fellowとして手術トレーニングを開始しています。

業務内容としては患者さんの術前術後の診察と状態の把握、手術のプランニング及び手術です。頭蓋底手術は大体週3日、3-6件の手術があるのですが、8:30に入室し麻酔導入後にモニタリング、ナビゲーションをセッティングしてインターンと2人で開頭を始め、昼頃になるとProfがÇa vas?(元気、どう?)と言って手術室に入ってきます。非常に複雑な手術が多く終わるのはいつも夜中ですが、幸いスタッフが皆親切で、助けてもらいながら充実したトレーニングが出来ていると思います。フランス語DELF B2レベルではとても、患者さんや家族への説明、医療現場の細かいニュアンスには耐えられないので、コンサルテーション(外来)、当直はありません。週3日の手術日以外は去年に引き続き頭蓋底解剖の勉強、cadaver dissection、論文作成を行っています。コロナパンデミックの影響で様々な制約がかかり苦労もしておりますが、幸いな事に仲間にも恵まれ充実したフェローシップを行っております。

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