留学報告 〜2年間の米国NIH留学で得たこと〜
呼吸器・腫瘍内科学分野の中道真仁です。2022年11月から2024年11月までの約2年1か月間、米国メリーランド州にあるNational Institutes of Health (NIH)のNational Cancer Institute(NCI)内のLaboratory of Human Carcinogenesis(LHC)に研究留学していました。
NIHは20の研究所と7つのセンターから成る、米国最大の研究機関です。私が所属したLHCは、がん抑制遺伝子p53の研究で世界的に著名なCurtis C. Harris先生が主宰される研究室で、私の医局からも多くの先輩方が留学してきた由緒ある研究グループです。LHCでは、2週に1度の小グループミーティングに加え、毎週の全体会議(発表は月1回程度)があり、発表前日は緊張で眠れませんでした。私の研究テーマは、「p53のアイソフォームを標的とした、細胞老化とアポトーシスに着目した肺がんの新規治療の開発」であり、思うように結果が出ず悩む日々でしたが、夜遅くまで語り合いながら励まし合い、乗り越えることができました。2年間という短い期間の中で、一定の研究成果が出せたのは、直接指導いただいたスタッフの先生やサポートしてくれた全ての皆様のおかげですので、心より感謝しております。
生活面では、アメリカの文化やルールの違いに戸惑いながらも、「自ら主張し、交渉する姿勢」の大切さを学びました。また、円安やインフレによる想像以上の物価高と出費にも苦しみましたが、一方で家族との時間を大切にできたのは大きな収穫でした。家族単位での行動が一般的なアメリカでは、長距離旅行に出かけたり、4大スポーツ観戦やナショナルパーク巡りを楽しんだりと、充実した時間を過ごせました。現地での様子は、所属医局の私設ホームページ内で「留学日記」としてブログ形式で配信していました。ご興味のある方は、ぜひご覧いただければ幸いです。
留学中は困難も多く、挫けそうになることもありましたが、新しいチャレンジを続けることで、人間として私も家族も大きく成長できたと思います。私は米国留学が本当に楽しかったですし、家族にとっても一生の財産となりました。この文章を読んで下さった皆様が、少しでも留学に興味を持つきっかけになれば、とても嬉しいです。
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LHCメンバー全体写真(私は一番上の段の真ん中)
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友人のお別れ会で(私は奥の真ん中)
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私の最後のプレゼン後(NIHのパーカーをもらって着ています)